「新型コロナウイルスは、ワンちゃん・ネコちゃんへ感染しますか?」

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最近飼主さまからこのような質問をお受けする機会が増えています。

ワンちゃんやネコちゃんは家庭内で飼育される機会も多く、
また散歩など屋外で人とも接触する機会が多いことから、飼主さまもとてもご心配されているかと思います。
そこで今回はこの問題についてお答えしていきたいと思います。

 

●「新型コロナウイルスは、ワンちゃん・ネコちゃんへ感染しますか?」

これについては、「現時点で伴侶動物(イヌやネコ)が新型コロナウイルスに感染しうるエビデンス(証拠)は限定的であり、
また他の動物や人に対する感染源となる証拠はないと、世界小動物獣医師協会(WSAVA)が声明を出しています。

ただし、ワンちゃんやネコちゃんは別のコロナウイルスに感染することがあります
例えばワンちゃんは「犬コロナウイルス」に感染すると軽度の下痢や嘔吐を起こし、「犬パルボウイルス」との混合感染によって重篤化します。
★これはワクチンによる予防が可能です。
(混合ワクチン接種について)

一方、ネコちゃんはコロナウイルス科の「猫伝染性腹膜炎ウイルス」により腹膜炎やけいれんを起こしたり、「猫腸コロナウイルス」によって軽度な腸炎を起こします。

 

いずれのコロナウイルスも今回の新型コロナウイルスとは全く異なるものであり、種を超えての感染は確認されていないことから、
新型コロナウイルスが人間のみの間で感染が成立する考えを支持する要因となっています。

一方、2月28日に香港より新型コロナウイルス感染者の飼育犬より弱陽性反応が検出されたと発表がありました。
これに対し日本獣医師会は「現時点では感染サイクルの主体は人だが、 感染した人と濃厚接触のあったペット動物への感染の可能性は否定できない」と見解を示しています。

現時点でワンちゃん・ネコちゃんへの新型コロナウイルス感染成立に対しての明確な証拠はありませんが、ウイルスは突然変異する力を持っています。
その中で種を超えて感染を及ぼす可能性を秘めていますので、今後も新型コロナウイルスの動向には注視していく必要があるでしょう。

 

●まとめ

◆ 現時点では新型コロナウイルスがワンちゃんやネコちゃんに感染するという明確なエビデンスはありません。

ただし、ウイルスは突然変異する力をもっているため、今後も新型コロナウイルスの動向には気をつけましょう。

◆ 新型コロナウイルスに罹患した方や、病気や疲労等で免疫力が低下している方は、感染予防のため動物に接触しないようにしましょう。

◆ もし新型コロナウイルス罹患者の方に接触した動物が病気になった場合は、ご来院前に必ず当院に連絡していただき、その旨を事前にお知らせください。

◆ 混合ワクチンには犬コロナウイルス感染症の予防を目的とするものがありますが、これは新型コロナウイルスとは異なるウイルス用のワクチンですのでご留意ください。

 

● 感染症は意外と身近なものです

今回の騒動では感染症の恐ろしさが改めて浮き彫りになりましたが、実は他人事ではありません。
「犬パルボウイルス感染症」や、「猫汎白血球減少症」など、命にかかわる危険な感染症にかかって来院する動物たちを時折お見掛けします。
精一杯の治療をもってしても、命が助かる場合とそうでない場合があります。

これらはワクチン接種によって予防ができる感染症ですが、
周囲で感染が流行してから慌ててワクチンを接種しても、体内で免疫がつくられるまでには時間がかかります。

前もって予防しておくことで病気を防ぐものですので、動物たちの命と健康を守るためにも、きちんと予防をしておきましょう。
(混合ワクチン接種について)

 

また、昨日の『NHKおはよう日本』でも同話題について触れられていましたので、こちらからご参考ください。

新型コロナウイルス Q&A|けさのクローズアップ|NHK おはよう日本
https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2020/03/0326.html

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